2016年6月30日木曜日

『her 世界でひとつの彼女』ネタバレあり



監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス、スカーレット・ヨハンソン


人工知能との恋を描く近未来ラブロマンス。これは名作。



あらすじ

近未来のロサンゼルス。セオドア・トゥオンブリーは妻と別居し離婚を迫られ、悶々とした日々を送っていた。
手紙の代筆ライターの仕事も以前のように楽しめず、性格もすっかり暗くなってしまっていた。

ある日、「OS1」という人工知能のオペレーティング・システムのサービスが始まったことを知り、早速パソコンにインストールする。
そして、いくつか簡単な質問に答えると、サービスが開始された。

彼女の名はサマンサ。
最初はただのプログラムだと思って会話していたが、あまりにもリアルな感情を持つ人間らしいサマンサに、徐々に惹かれていく。



見どころ

映画の始めの方に、セオドアが自宅でゲームをしているシーンがあります。
キャラクターが急な坂を必死に登るが、結局転げ落ちてしまう。

このシーンが、この映画のすべてを物語っているように思います。ぜひ注目して、どんな意味なのか考えながら観てみてください。



感想

これからこの映画を観る人にアドバイス。
少なくとも前半はひとりで観ましょう。家族で観ると気まずい空気になります。
なぜかというと、セオドアが電話越しに女性と通話しながら自慰行為を行うからです。そして声がデカい・・・。
このシーン自体本当に必要なのかは分かりませんが、今後の展開を考えてあったほうがいいとは思います。でも、あのシーンで誰が得をするのか・・・。



さて、この映画は男性とAIの恋愛を描く物語であり、ふたりの関係には恋愛のあらゆる要素が組み込まれています。まさに驚きです。
身体がなくてもここまで恋できる。「人は見た目じゃない」の一種の究極とも取れます。



サマンサ演じるスカーレット・ヨハンソンの演技が素晴らしいです。
声だけの出演ですが、見事にサマンサに命を吹き込んでいます。
同時にあのハスキーな声がセクシーです。実は今まで、あんまりスカヨハは好きではなかったんですが、これは恋せざるを得ないくらい素晴らしかった。

セオドア役のホアキン・フェニックスも素晴らしい。
体を持たない相手との恋ですが、彼の演技のおかげで説得力が生まれました。
セオドアが大根演技してたら、ただのキモオタになり下がってしまうので、ホアキン・フェニックスは偉い。

というのも、別居中の妻と会って離婚届にサインをするシーンがありますが、そこでOSと交際していると言った瞬間に妻の顔が変わります。
そして変人扱い。
ホアキン・フェニックスの演技に説得力があるからこそ、ショッキングなシーンになり、セオドアに感情移入ができます。


でも、こういうシチュエーションって結構身近に存在すると思いませんか?
アニメやゲームの2次元のキャラクターに恋してる人は割といます。程度の差こそあれ、あなたの周りにもきっといます。
『her』を観て気づいたことは、そんな2次元のキャラに恋する人を馬鹿にできないなということです。


あと、もうひとつ。
OSとの恋は、セオドアの職場まわりではそこまで変なことのように言われません。むしろ同じような人もいます。
こういう、同質な人が集まる場をエコーチェンバーと言います。
エコーチェンバーの中での常識が、その他の場では非常識ということがよくあって、トラブルの元になったりもします。注意してくださいね。
今回はそのせいでセオドアと妻が突然喧嘩することになってしまいました。

ちなみに、私のTwitterのTLは、がっつりエコーチェンバーです。



あと、さらにもうひとつ。
この映画の主題歌にもなっている、カレン Oの「The Moon Song」。
劇中にも登場しますが、エンド・クレジットで流れたときに思わず泣いてしまいました。
映画で泣いたのは『スター・ウォーズ』以外では初めてです。
是非、エンド・クレジットまで楽しんでください。

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