主演:ジョージ・クルーニー
2016年公開
ジョディ・フォスター初監督作品のリアルタイム・サスペンスです。
あらすじ
「マネーモンスター」という財テクの人気番組がジャックされる。
事の発端はアイリスの株の暴落。アイリスはこれで8億円の損失を出した。原因は証券取引のアルゴリズムのバグと発表された。
「マネーモンスター」で司会者のリー・ゲイツは「アイリス株は買いだ」と言った。それを信じて大損したカイルという若者がスタジオに侵入。発砲し、リーに爆弾ベストを着せる。
なんとかカイルを落ち着かせようと指示通りに番組の放送を続けるかたわら、パティはアイリスの8億円損失の本当の原因を探り始める・・・
感想
ウォール街の闇、ジャーナリズムの本質、格差社会、そして事件を目撃する一般大衆。
それぞれが鋭く的確に描かれていました。
ウォール街の闇についてはネタバレ案件なのでスルーします。
ジャーナリズムの本質
そもそもニュースには大きく2種類あります。
ひとつは発表された事実をそのまま報道するもの。もうひとつは、自ら取材して得た事実を報道するもの。
今、ニュースではほとんどが前者です。しかし、例えば企業や政治家の不正を暴くことは人々にとって利益に繋がります。これがなければ、テレビなどのマスメディアはただの宣伝機関になり下がってしまいます。
にもかかわらず、年々取材や調査は減ってきているそうです。それが質の低下にも繋がっています。
『マネーモンスター』では、意に反して娯楽番組のスタッフが調査しまくって企業の闇に迫ります。
実際にこれをやったらいろいろまずいですが、スピード感もあり、まずい分スリルもあり、とても面白かったです。
大損してブチギレたカイルは、低所得者です。ここに格差社会という背景があるのですが、ネタバレスレスレなので黙ります。
一般大衆の行動
地味におもしろかったのは、この緊迫した事件を見守る一般大衆の行動です。
人の命がかかった事件も所詮は他人のこと。フラッシュモブとそう大差はないのです。野次馬は笑顔で集まり、視聴者はバラエティ番組の変わりにニュースを見る。
目の前で銃声がしない限り、事件はお祭りに他ならない。
事件が終われば日常生活に戻り、ネットではコラが拡散される。
そして事件は忘れ去られる。
ここまでをあくまで背景として描き切るところが凄かったです。さすが、ジョディ・フォスターは凄かった。
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