2016年5月16日月曜日

『秋刀魚の味』ネタバレなし

監督:小津 安二郎
主演:笠 智衆


三大巨匠のひとり、小津 安二郎監督の遺作です。

同じような内容の映画が多い監督なので、何がネタバレなのかもよく分かりませんが、肝心なところは言及してないつもりです。


あらすじ

早くに妻を亡くし、男手ひとつで子どもたちを育ててきた平山周平。しかし、家事は娘の路子に任せっぱなし。路子も24になり、そろそろ嫁に行かせる頃。

友人は縁談を持ちかけたり、気を遣ってくれるが、なかなか路子を嫁にやる気になれない周平。

当の路子も周平と末息子の世話があるため家を出ようとしない。

結婚し、別居中の長男・幸一や友人の温かい助けを得ながら、なんとか路子を嫁に行かせようとする努力が、「老い」と「孤独」をテーマに描かれる。



感想

小津作品を観るのは『麦秋』『東京物語』に続き3本目です。観終わったあとの、なんとも言えない寂しいような感じが良いんです。



ストーリーはすごく単純なんですが、どうして引き込まれるのでしょうか。観ていて全く飽きないです。

多分、感情を言葉以外で表現するシーンが多いから、それが表す意味を自分で読みとらなければいけない所に要因があるのではないでしょうか。

「あの人はなんで泣いたのだろう?」
という疑問をなんとなく考えながら観進めると
「なるほど、そういうことだったのか」
となります。
割とこういうことが多いです。

だから観る人によってとらえ方も変わるし、映画がその分深くなっています。
こういうの好きです。


タイトルになってる「秋刀魚」が全く出てこないので、何か深い意味があるのかもしれないと調べてみました。そしたら、「秋に公開する映画だったから」という理由で『秋刀魚の味』というタイトルにしたそうです。
拍子抜けですね(笑)


『麦秋』との比較

ちょっと調べてみたら、『麦秋』が1951年で『秋刀魚の味』が1962年。
10年以上経ってるんですね。

もう戦後って感じではなくなっていましたが、人々の中には戦争の記憶がはっきりと残っていることが印象的でした。


女性の立場も少し変わっていました。
「男は仕事、女は家事」というのは変わりません。でも『麦秋』で夫の言うことを素直に聞いていた妻が、『秋刀魚の味』では「それくらい自分でやりなさいよ」と口答えしていました。

特に長男夫婦はそうで、ほとんど今の夫婦と変わらないようでした。

10年で変わるもんなんですね。
まあ今では主夫やイクメンまで登場していますから、世の中変わったものです。
私はどんな立場でものを言っているのでしょうか・・・?


小津監督と言えば、独特な撮影方法や小道具の配置のこだわりなど、他の監督とは一線を画しています。
まだ観たことがないという方は、是非1度ご覧になってみてください。意外と面白いですよ。

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